北海道夕張市を走るJR石勝(せきしょう)線夕張支線(新夕張―夕張間、16・1キロ)が31日、最終運行日を迎えた。車内は午前中から、全国から駆けつけた鉄道ファンらで混み合い、JR夕張駅前では、地元住民らが乗客を出迎えた。
30日から夕張入りしている東京都あきる野市の介護福祉士、熊野将博さん(40)は、運転士の制帽をかぶり、列車が到着・出発するたびに、「ありがとう 夕張支線」と書いた手作りの横断幕を掲げた。「廃線は寂しいが、人が乗らなければ廃線はしかたがない」と話した。
夕張支線は1892年、国内有数の産炭地・夕張から石炭を運び出すために建設された。戦後の高度成長を支えたが、1990年代に市内から炭坑が消え、人口減少で旅客も大きく減った。
JR北海道は2016年、「単独では維持が難しい」とする13線区を公表。このうち夕張支線については、夕張市と昨年3月、廃止合意した。13線区のなかで、沿線自治体と廃止・バス転換で合意した初めてのケースとなった。JR北は廃止後、代替バスの運行費用を市に助成し、地域の公共交通を維持するとしている。(斎藤徹)