北海道夕張市の中心部を縦走するJR石勝(せきしょう)線夕張支線(新夕張―夕張間、16・1キロ)が31日夜、最終運行を終え、明治以来127年の歴史に幕を下ろした。
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午後7時34分、夕張駅から、最終列車が出発した。3両編成の車両は満員。夕張は故・高倉健さん主演の映画「幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ」(1977年)の舞台。大勢の市民や鉄道ファンらが黄色いハンカチやペンライトを振り、列車を見送った。出発を見届けた夕張市の主婦、松宮文恵さん(71)は「寂しさはあるけど、明日からまたリスタートです」と話した。
夕張支線は1892年、国内有数の産炭地・夕張から石炭を運び出すために建設された。戦前の近代化や戦後の高度成長を支え、市民の足として活躍した。
だがエネルギーの主役が石油になり、石炭産業は衰退。1990年には市内から炭鉱が消えた。最盛期の1960年に約12万人いた市の人口も、現在は約8千人。旅客も大きく減った。
経営難に陥ったJR北海道は2016年から、総延長の半分にあたる13線区(1237・2キロ)を対象に、路線見直しを進める。夕張支線は沿線自治体と合意のうえで廃止に踏み切った初のケースとなった。同じルートには1日から代替バスが走る。(斎藤徹)