東日本大震災の被災地・岩手県大船渡市の市立綾里(りょうり)小学校で1日、全国で最も早い入学式があった。この日の入学式は戦前からの伝統。色鮮やかな羽織はかまと振り袖を身にまとった新入生が、学舎(まなびや)での生活をスタートさせた。
ぴかぴかのランドセルを背負って校舎の門をくぐったのは男女10人。その一人、佐々木夢さん(6)は震災から1年3カ月後に生まれた。
市内では約400人が死亡・行方不明になるなど甚大な被害に見舞われた。父親の貴史さん(30)は「この子たちは次の時代の子どもたち。(娘には)名前の通り、夢に向かって頑張ってほしい」と述べ、夢さんは「救急救命士になって、みんなを助けたい」と話した。
綾里小は海から約700メートルの場所にあり、津波で校舎の1階と体育館が浸水したが、児童と教職員は無事だった。1970年代から入学式で女子のはかま姿が増え始め、男子にも広がっていたが、震災があった年は和装を自粛。翌年から元の格好に戻った。(渡辺洋介)