春色をみつけに京都の古刹(こさつ)・随心院(ずいしんいん)を歩いた。人、人、人の観光寺院と違い、静かな時が流れる。ただ1年前から参拝者が増えている。お目当ては、小野小町の生涯を描いた鮮やかな襖絵(ふすまえ)だ。寺が撮影を認めると、SNSで話題に。「いいね」に誘われ、人が集う。
【特集】京都非公開文化財特別公開
京都には伝説が残る。真言宗の古刹・随心院がある地は、平安時代の絶世の美女、小野小町が余生を送ったと伝わる。
その襖絵は本堂の隣、36畳の能之間(のうのま)にあった。薄紅色の古語をさす「はねず色」がまばゆい。襖4枚に描かれているのは小町の生涯だ。秋田での誕生、みやびな宮中の生活、宮仕えを終えた後の余生、小野の地を離れた放浪の日々……。
カナダから来た客室乗務員の青田陽子さん(45)は「繊細で斬新。鮮やかなピンクが小町に似合う」。
随心院には、小町が恋文を埋め…