警察が防犯や捜査、警備に人工知能(AI)やビッグデータを活用する動きが本格化する。警察庁は2019年度、AIの実証実験を開始。すでに各地で検討が始まっており、街頭犯罪の発生を予測して効果的にパトロールしたり、人混みでのテロを防いだりといった使われ方が進みそうだ。
警察庁の実証実験のテーマは三つ。①車両種別の判別②資金洗浄(マネーロンダリング)が疑われる取引の情報分析③大規模イベントでの不審点の抽出だ。
車両の判別では防犯カメラに映った車の画像から車種などをAIを使って割り出す。各メーカーの車の画像データを学習させ、カメラの画像が不鮮明でも車のタイプや車種、年式などを判別できるようにする。
資金洗浄が疑われる取引は犯罪収益移転防止法に基づく金融機関などによる届け出が年約40万件に上る。AIでは摘発に結びついた過去の例などを学習させ、届けられる情報を効果的に分析し、犯罪の疑いが強い情報かどうか振り分ける。
大規模イベントを対象にした警備の実験では、会場内外の監視用カメラがとらえる映像から不審点を自動的に探り、発見する。コンサートやスポーツ大会、会議などを想定し、テロリストらが取るであろう行動の特性を学習させる。過去に欧米で起きたテロにおけるデータの利用も検討する。
警察庁は実証実験用に専用サーバーを用意。車種判別とイベント警備の場合、不審な車両や人物などの模擬データを作成、使用することも検討している。
担当幹部は「AIは警察活動を効率的、効果的に行うための支援ツールで、最終的に判断するのは警察官や警察職員。実証実験で課題を見極めたい」と話す。
各地の警察で、すでに取り組み…