「同人誌」はアニメやゲームだけじゃない。アプリ開発の技術やソフトウェア、数学など「技術系同人誌」の即売会が、東京を中心に各地で開かれ始めている。「ニッチな技術や触れたことのない専門知識にカジュアルに接することができる」と、執筆者や技術書ファンが増えている。
東京都港区で2月23日、「技術書の作り方勉強会」があり、約40人が集まった。今月14日に池袋で開かれる、ITや科学技術をテーマとする同人誌即売会「技術書典」に初出展をめざすメンバーらだ。
技術書典は、同人誌の執筆サークルなどが主催し、初開催した2016年夏は約1400人が来場。5回目となった昨秋の技術書典は1万人以上が訪れ、1日で7500万円分ほどの同人誌が売れた。主催側でエンジニアの日高正博さん(36)は「知らない技術に出会える楽しさ、本を買うライブ感も人気の理由にあるかも」と話す。
技術書典に並ぶ同人誌は、ジャンルもターゲット層も様々だ。猫がエサを食べた時間や回数をLINEで知らせる技術などを紹介した「ネコ〈猫〉を支える技術」、「自分でつくるゲームボーイのカートリッジ」など幅広く注目を集めた。表紙にキャラクターを登場させたり、写真を多く使ってカラフルにするなど、手にとってもらいやすい工夫がされた技術書が目立つ。
こういった同人誌は「コミックマーケット」でも売られていたが、「弱小ジャンルで数は少なかった」と主催側のエンジニア高橋征義さん(47)。一般の書店で売られる技術書は、技術者にはすでに情報が遅い、広い読者層に合わせた結果「ニッチな情報」がない場合が多いという。ウェブ上で探すのも手間がかかっていたことから技術書典を始めたという。
フリープログラマー坂本竜さん(27)は「windows10でのアプリの作り方など、同人誌から生かせる知識を得られた」。今回は執筆者として参加し、「技術だけでなく納期に間に合わなかったなどフリーの仕事の失敗談も同人誌にするつもり」と準備中だ。
執筆者の一人、ウェブエンジニア上村太一さん(27)は前回、プログラミングの設計パターンを、アイドルとファンの関係に置き換えるなどして解説した。「構想と執筆に2カ月。大変だったが本が売れた瞬間に報われた」と今回も出展する。日高さんは「技術ファンが相互に教え合う関係も築ける」と手応えを感じている。
技術書典の人気を受け、技術フ…