「男は仕事、女は家庭」。平成は、こうした固定観念の見直しが進んだ時代でした。子どもたちが手にとる人形の世界にも変化がありました。
【特集】平成から「令和」へ
1967年の発売以来、子どもたちに親しまれているリカちゃん人形。89(平成元)年は、それまで「行方不明」という設定だったパパの香山ピエール(36)が発売された年でもあった。デザイナーのママは69年に発売されていたが、「当初のリカちゃんは少女漫画のように『悲劇のヒロイン』をイメージしていて、父親は行方不明という設定にしていた」。発売元のタカラトミーの担当者は話す。
86年に男女雇用機会均等法が施行された一方、「24時間戦えますか」のテレビCMが話題になるなど、まだ父親といえばモーレツ社員のイメージが強かった時代。「男は仕事、女は家庭」。そんな固定観念が揺らぎながらも色濃く残るなか、「パパには『こうあってほしい』という子どもたちの憧れを反映」(担当者)したというピエールは、今度はマイホームパパの設定になった。2014(平成26)年には1年間の育休取得を宣言。6人の子の父親として「イクメン」をうたった。
ウサギやクマなどの家族を描いて人気のミニチュア玩具「シルバニアファミリー」の世界でも、こうした家庭像の変化は進んだ。
85年の発売当初は、「父親は仕事、母親は専業主婦」(担当者)というイメージだったという。94(平成6)年に、ウサギのお母さんが「仕立て屋さん」という設定の商品を発売して以来、母親たちは職業を持ち始めた。09(同21)年ごろからは、母親の目印としてエプロンをつけることはやめるようになった。
本格的に設定を見直したのは16(同28)年ごろから。17年には「お姉さん」たちが全員、家具デザイナーやショコラティエなどとして働くシリーズを発売。18年発売の「カワウソファミリー」では父親が赤ちゃんを抱き、今年発売したペルシャネコの一家は、娘2人が機械いじりや科学が好きな「理系女子」の設定になった。
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