政府は23日、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に基づいて策定する長期戦略案を公表した。日本は「2050年までに温室効果ガス排出量の80%削減」を掲げており、その実現に向けたシナリオとなる。
戦略案は政府の有識者懇談会の提言を受けてまとめられた。今世紀後半の早期に「脱炭素社会」の実現を目指すとし、50年に向けて再生可能エネルギーを主力電源化することや、技術進展による水素エネルギーの活用、温室効果の高いフロン類の廃絶などが盛り込まれた。
一方、二酸化炭素を多く排出する石炭火力発電については「全廃」にまでは踏み込まず、「依存度を可能な限り引き下げる」との記述にとどめた。焦点の一つだった原発は「実用段階にある脱炭素化の選択肢」と位置づけ、安全性・経済性・機動性に優れた炉を追求するとし、原発推進の姿勢を鮮明にした。
各国はパリ協定に基づき、20年までに国連に長期戦略を提出するよう求められている。政府は今後、国民からの意見を募った上で、6月に大阪市で開かれる主要20カ国・地域首脳会議(G20)までの正式決定を目指す。