新しい元号を決めるにあたり、政府が4月1日に有識者などに提示した六つの原案の典拠が全て判明した。複数の政府関係者への取材で分かった。広至(こうし)の典拠は720年に成立した国史「日本書紀」と、これに次いで古い国史とされる「続日本紀(しょくにほんぎ)」だった。
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国書案は、国文学者の中西進氏が「万葉集」から取った令和と、「古事記」の英弘(えいこう)、「日本書紀」などの広至の三つと既に判明していた。広至は漢籍にも典拠を持つとみられていたが、その後の取材によると典拠は国書二つだった。
漢籍案のうち、久化(きゅうか)は儒教の経典「易経(えききょう)」、万保(ばんぽう)は中国最古の詩集「詩経(しきょう)」から取られていた。万和(ばんな)の典拠は、考案した石川忠久・元二松学舎大学長の証言から中国の古典詩文集「文選(もんぜん)」とみられていた。政府関係者によると、石川氏と政府との調整で、提示資料では古代中国の歴史書「史記(しき)」の「五帝本紀」とされた。
政府が有識者らに示した元号原案とその典拠
英弘 古事記
久化 易経
広至 日本書紀、続日本紀
万和 史記(五帝本紀)
万保 詩経
令和 万葉集
(50音順)