大阪府富田林市の住宅街に、ちいさな「私設図書館」がある。蔵書は、玄関先に置かれた手作りの木箱の中。ぎっしり詰まった絵本や児童書は、24時間いつでも誰でも借りられる。オーナーは小学5年生の男の子だ。
地域の人が行き交う道路沿いの家の前。切り株の上に、その木箱はある。高さ70センチほど。水色のペンキが塗られ、屋根には手書きの紙が貼り付けられている。
「自由(じゆう)に借(か)りてね。だけど、必(かなら)ず返(かえ)してね。おねがいします。」
この「とんだばやしMIKO(ミコ)まちライブラリー」を開いているのは、同市伏山の後上(ごかみ)尊音(みこと)君(10)。「MIKO」は自分の名前からとった。
小さな頃から本を読むのが大好きだった。絵を描くのも得意で、小学校に入ると描いた紙をまとめて漫画本をつくるなど、本作りも趣味になった。でも、3年生の途中で、登校しても校門をくぐれなくなった。
そこで、母の由美さん(42)…