ロスジェネはいま
フリーターか悪徳セールスで稼ぐか、その道しか見えなかった――。鈴木和樹さん(37)は、高校生の頃の自分をそう振り返る。そのころ就職氷河期のど真ん中だった。ロストジェネレーション世代。「何かをあきらめることの連続」の日々だったという。生活保護、日雇い派遣、ネットカフェ難民。貧困の現実を当事者として体験した。そしていま、「助けて」と言える仕組みづくりに奔走する。
【特集ページ】ロスジェネはいま
物心つく前に両親が離婚し、静岡県の父方の祖母に引き取られた。小学生のとき、祖母が手がけていた食品関連の事業が行き詰まり、家計がひっぱくした。
給食費が払えなくなり、料金未払いで電話もとめられた。クラスの連絡網の伝達をきっかけに、それが同級生に知られてしまう。「お金ないから電話が止まってるって、お母さんが言ってた」。友達の一言が胸に突き刺さった。いじめが始まった。
ときには丸1日何も食べられない日もあった。でも誰にSOSを出していいのかわからず、ただ空腹に耐えた。一家は生活保護を利用するようになった。
高校時代は夜遅くまでバイト漬けだった。奨学金の情報も知らず、大学進学は最初からあきらめていた。しかも、ちょうど就職氷河期のど真ん中だった。
フリーターになるか、悪徳セールスで稼ぐか。
「自分の人生が見えてしまった…