東日本大震災で津波被害に遭った宅地をかさ上げする土地区画整理事業で、岩手、宮城、福島の3県で少なくとも71ヘクタールの利用のめどが立っていない。事業の対象となった490ヘクタールの14%を占め、東京ドーム15個分に相当。事業に時間がかかり、再建をあきらめた被災者が多い。多額の復興予算をかけたが、被災地の重荷となっている。
想定を超える空き地の多さに、自治体が売買や賃借の調整に乗り出したほか、地権者に現金を支給し、利用を促す例も出ている。
朝日新聞は被災した3県の42市町村にアンケートを実施。土地をかさ上げして再建する区画整理事業は13市町が採用しており、利用予定のない土地の面積を調べた。
津波で被災した土地の地権者は、区画整理事業が完了すると造成地を割り当てられる。490ヘクタールの多くで住宅や店舗の再建が済んだり、その見通しがついたりしている。しかし、今回明らかになった71ヘクタールは、地権者が利用する予定はないという。工事が大がかりで事業が長期化した岩手県の自治体で目立つ。未利用の理由を尋ねると、「被災者が別の場所で住宅再建した」(岩手県山田町)、「事業完了後にどのような建物が立つか、地権者が見極めようとしている」(同県大船渡市)、「ほかの災害公営住宅や民間アパートに入居した」(宮城県女川町)などが挙がった。
国は被災したまちの再建方法として、盛り土をして道路や宅地を新しく造る土地区画整理事業の手法を採用。地権者から同意を取って事業の規模を決め、3県で4200億円を投じた。ただ、同意を得るのに時間を要したほか、盛り土工事も長期化。被災者の生活が避難先で定着し、帰還して造成地を利用する選択につながりにくい状況になっている。
■自治体対策、少な…