天皇、皇后両陛下が平安朝以来の古式装束をまとい、初めての宮中祭祀(さいし)に臨んだ。なかでも皇后雅子さまの衣装は10キロを超えると言われる。装束はどんな由来をもつのか。
天皇陛下は8日午前、皇居の森の奥深くにある「宮中三殿」をまわり拝礼した。しばらくして皇后さまも続いた。宮内庁によると、両陛下の装束は今回の代替わりのために新調した。天皇陛下の束帯は、「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」と呼ばれ、ウルシ科のハゼノキから採れた染料などで染めたもので、淡く赤みがかった茶色が特徴。平安時代以降、天皇が着用する色とされているという。浮き上がる文様は、鳳凰(ほうおう)、桐(きり)、竹、麒麟(きりん)がモチーフで、王者を象徴するものだという。
有職(ゆうそく)文化研究所を主宰する仙石宗久氏(73)によると、天皇陛下の「黄櫨染御袍」が即位儀式に用いられるようになったのは明治天皇から。それ以前は長い間、中国風の装束が用いられていたという。陛下が手にした細長い薄板は「笏(しゃく)」。元々は複雑な作法を忘れないように記した紙を貼る板だったとも言われている。これらの装束一式は、今秋、国内外の賓客を招いて国事行為として行われる「即位礼正殿の儀」でも身につける。
一方、皇后さまの装束には色や…