「羅生門」「雨月物語」などで、生命感にあふれ、あでやかな女性を演じた俳優の京マチ子(きょう・まちこ、本名矢野元子〈やの・もとこ〉)さんが12日、心不全のため、都内の病院で死去した。95歳だった。14日に密葬を行った。お別れの会の予定はないという。
1949年、「痴人の愛」の自由奔放な女性ナオミ役で注目。ベネチア国際映画祭の金獅子賞に輝いた翌年の黒沢明監督「羅生門」では、神々しさと強烈な自己主張を持つ武士の妻役で、白熱の演技を見せた。53年の溝口健二監督「雨月物語」が同映画祭の銀獅子賞を獲得。同じ年の衣笠貞之助監督「地獄門」がフランス・カンヌ国際映画祭のパルムドールと、出演作が相次いで国際的な賞を獲得。大映のドル箱スターであると同時に、世界に名を知られる俳優となった。