日立製作所は14日、英国の高速鉄道で15日から運行する新車両「AZUMA(アズマ)」をロンドンで公開した。モーターとディーゼルエンジンを搭載した「バイモード」車両で、非電化区間にも対応する。2020年半ばまでに497両を納入する計画で、日立は今回の実績を次の大型受注につなげたい考えだ。
ロンドンと西部を結ぶ路線をすでに走っている車両と同型で、最高速度は時速約200キロ。
新車両の名前は日本語の「東」の訓読み。今回の納入車両が英国の東海岸寄りの路線を走ることからつけられた。ロンドンと約320キロ北のリーズ駅までを往復し、将来はスコットランド北端までの約930キロを走る計画。
高速鉄道の運行会社「LNER」のロビン・ギズビー会長は14日の試乗会で、「最高品質の車両で運行時間も短縮でき、飛行機に対する競争力が上がる」と語った。
アズマは、日立が12~13年にかけて受注した、総事業費57億ポンド(約8千億円)の大型プロジェクトの一環。
日立は14年に鉄道事業の本部を日本から英国に移し、海外展開に力を入れている。15年にイタリアの鉄道会社を買収し、英北部に新工場もつくった。
英国経済は、EU(欧州連合)からの離脱決定で先行きが不透明な面はあるが、鉄道事業の重要性は増している。英国内では、次世代の高速鉄道「HS2」の導入が計画され、地方路線での車両入れ替えも見込まれる。アズマの実績は、これらの受注を引き寄せる「試金石」となる。(ロンドン=和気真也)