宮崎県延岡市で150年以上続く海産加工業者を営む兄弟が、ジビエの燻製(くんせい)作りに奮闘中だ。曽祖父の代から継ぐ家業が衰退する中、起死回生の一手だった挑戦が今、実を結び始めている。
土々呂漁港を目前に臨む日向(ひなた)ととろ株式会社=同市土々呂町=の加工場で夕方、作業着姿の斉藤泰蔵さん(58)が、燻製したシシ肉と鹿肉をパックに詰めていた。実働するのは専務の泰蔵さんと、代表取締役を務める弟の和也さん(54)の2人。会社の入り口には「斉藤水産」と書かれた看板があった。
1868年創業の斉藤水産は、港に揚がった魚介を加工し、全国の小売業者や給食センターなどに卸す。同社当主も務める泰蔵さんによると、約40年前には70人以上いた従業員が今は約10人に。売り上げも10分の1ほどに落ち込んだ。
かつての主力商品はチリメンやメヒカリの加工品だった。気候変動の影響を受けてか漁期はずれ、水揚げ量も減った。
収益を安定させようと、泰蔵さ…