9月に日本で開幕するラグビーワールドカップ(W杯)。自治体は、試合の開催地だけでなくキャンプ地の誘致にも力を入れた。北九州市はウェールズ代表の公認キャンプ地に選ばれた。その陰には、25年前に交換留学で訪れ、今も市内に暮らす1人の英国人の尽力があった。
公用車、バス、消防車に自家用車まで。真っ赤な竜が描かれたウェールズ国旗と「GO!GO! WALES」の文字を街のあちこちで見かける。
3月下旬には、長身でがっちりとした体格の男たちが子どもたちと楕円(だえん)球を追った。ミクニワールドスタジアム北九州(同市小倉北区)でウェールズラグビー協会が開いた交流プログラム。小中学生たちが元代表選手らに指導を受け、一緒に芝生を駆け回った。市内で英会話教室を営むローレンス・チヴァスさん(46)も足を運び、通訳をした。
「公認キャンプを誘致したい」。市関係者から、在北九州英国名誉領事のチヴァスさんが相談を受けたのは4年前だ。「どこの国がいいだろう」。問い合わせに「ウェールズに決まっている」と即答した。北九州市立大とウェールズのカーディフ大が1992年に提携を結び、交換留学を続けている縁があるからだ。
自身もカーディフ大生だった9…