日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(65)の裁判で、争点や証拠を絞り込む初めての公判前整理手続きが23日、東京地裁(下津健司裁判長)であり、保釈中のゴーン前会長が出廷した。弁護側は検察側に対し、早期の証拠開示などを求めたとみられる。
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前会長は23日午前9時半ごろ、弁護団とともに車で地裁に到着した。グレーのスーツ姿で、弁護団とともに歩いて地裁に入った。
ゴーン前会長は、会社法違反(特別背任)と金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪で起訴されている。前会長は一貫して起訴内容を否認している。手続きは非公開。この日は主に、特別背任事件について話し合われたとみられる。弁護人の弘中惇一郎弁護士は22日、前会長の出廷の狙いについて「裁判所も、ゴーン前会長がどういう人かを認識できる。緊張感をもって、手続きが早く進むことも期待できる」と話した。
東京地検特捜部は14日、特別背任事件のうち、サウジアラビアの実業家に日産資金を不正送金したという「サウジルート」について、訴因変更を地裁に請求。ゴーン前会長が2008年10月に実業家側から2千万ドル(当時のレートで約20億円)の提供を受けていたことなどを起訴内容に加えた。弁護側は23日の公判前整理手続きで、この変更の趣旨などを検察側に確認したとみられる。