有料老人ホーム「サニーライフ北品川」(東京都品川区)で入所者の男性(82)が殺害された事件で、殺人容疑で逮捕された施設の元介護職員根本智紀容疑者(28)が男性を繰り返し居室に引きずり込み、その後1人で立ち去る様子が防犯カメラに映っていたことが、捜査関係者への取材でわかった。警視庁は立ち去る直前に暴行が行われたとみて、事件に至る経緯を詳しく調べている。
品川の老人ホーム、82歳暴行死 殺人容疑で元職員逮捕、否認
根本容疑者は夜勤だった4月3~4日、黒沢喜八郎さんの居室で黒沢さんを暴行して殺害したとして今月22日に逮捕された。「暴行したことはない」と容疑を否認しているという。黒沢さんは肋骨(ろっこつ)の背中側が4カ所折れ、内臓の損傷もあった。捜査関係者によると、暴行の程度は3階の高さからの転落や交通事故に相当するという。
施設の廊下に設置された防犯カメラを警視庁が調べたところ、根本容疑者は3日午後8時以降、黒沢さんの居室にたびたび出入りしていた。深夜には居室から出ようとする黒沢さんを何度も引きずって連れ戻し、その後1人で出てきて、両手を広げて肩をすくめるようにしながら立ち去った様子が映っていたという。
黒沢さんは認知症だった。居室から出て行くことは以前にもあり、右半身が不自由で、はうような状態になるという。施設の担当者は「車いすに乗せるなどするのが通常の対応。引きずるのは虐待だ」としている。