関西電力の原発で想定される火山の降灰量が過小評価されていた問題で、原子力規制委員会は29日、従来の約2倍となった降灰量の再評価をもとに追加の対策について審査する必要があるとして、年内に想定を変更した申請を出すよう関電に命じる方針を決めた。噴火の切迫性は低いとして運転の停止までは求めない。
規制委が再審査の申請を命じるのは異例だ。対象は、福井県にある美浜、大飯、高浜の3原発。関電は大山(鳥取県)の過去の噴火規模などから、3原発の敷地内での降灰量を厚さ10センチと想定して対策をとり、規制委も新規制基準に適合するとして了承していた。だが、その後に従来の研究より大規模な噴火があったとする新たな知見が見つかり、規制委は再評価を命じた。
関電は3月、高浜で約22センチ、大飯で約19センチ、美浜で約14センチなどと評価し直したうえで、この規模の巨大噴火が原発の運用期間中に起きる可能性は十分低く、想定する必要はないと主張。再審査の申請をしてこなかった。規制委は従来の想定のままでは新基準に不適合になるため、新たな想定での再審査が必要と判断した。非常用ディーゼル発電機のフィルター交換などの対策が追加で必要かどうかを審議する見通しだ。(福地慶太郎)