大阪教育大付属池田小学校(大阪府池田市)に刃物を持った男が侵入し、児童8人が殺害された事件は6月8日で2001年の発生から18年になる。今月28日、川崎市多摩区で登校中の児童らが殺傷された事件に、遺族はショックを受けた。かつての自身を重ね合わせながら、被害者や地域への支援を強く望んでいる。
死傷事件容疑者、近隣トラブルも 川崎市内に住む51歳
長女の麻希さん(当時7)を亡くした酒井肇さん(57)は「タイムスリップした感覚で、あの日に引き戻された」と話す。
18年前の朝、自宅から最寄り駅まで麻希さんと一緒に歩いた。テレビの臨時ニュースで事件が起きたことを知り、安否がわからないまま会社を飛び出した。やっとの思いで病院に着くと、娘は心臓マッサージを受けていた。不安、いらだち、絶望。当時のすべての行動と感情、蒸し暑かった感覚までがよみがえった。
付属池田小事件は校内で起きた。今回は校外の通学路だが、いずれも安全だと信じていた場所で、幼い子どもたちが包丁を持った男に次々に襲われた。酒井さんは事件後、再発防止を訴える活動を続けてきただけに、「また同じことが起きてしまった」と無力感に襲われたという。
付属池田小事件の教訓も踏まえ、文部科学省が3年前に示した「学校事故対応に関する指針」では、学校の管理下で死亡事件・事故が起きた場合、必要に応じて発生から3日以内をめどに関係者の聞き取り調査などを実施し、1週間以内を目安に遺族に最初の説明をすることになっている。
付属池田小は18年前、事件を受けて保護者説明会を開いたが、遺族には案内がなかった。酒井さんは「私たちのときのように、遺族を事件後の対応の蚊帳の外に置かず、気持ちに寄り添ってほしい」と願う。
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