ハノイで2月末にあった2回目の米朝首脳会談が決裂した責任を問う動きが、北朝鮮で出ている模様だ。北朝鮮メディアが綱紀粛正を強調する記事を載せたほか、米朝協議にかかわった幹部らの処罰の情報が飛び交っている。担当者が処刑されたとの報道もあり、米国も確認を急いでいる。
北朝鮮の労働新聞は30日付で、「良心は人間の道徳的な姿を決める尺度」との記事を掲載。「首領への忠誠を言葉で叫びつつ、大勢をみて変える背信者がいる」と指摘し、こうした人たちには「審判は避けられない」と強調した。
北朝鮮内部とやりとりする外交官出身の脱北者は「会談が決裂した後、北朝鮮の内部は、かなり殺伐な雰囲気だと聞いている」と語る。こうしたなか韓国大手紙の朝鮮日報が31日、米朝協議にあたった金英哲(キムヨンチョル)・党副委員長が労役刑に、金赫哲(キムヒョクチョル)・対米特別代表が銃殺刑になったと報道。これについて韓国統一省の報道官は記者会見で、「確認できていない」とした。
北朝鮮情勢に詳しい専門家は「2人とも、そこまでの処罰は受けていないという情報もある。確かなことは、責任を問う内部調査は終わったということだ」と語り、今後、北朝鮮が次の米朝協議に向けた動きを見せる可能性もあるとの見方を示した。
ポンペオ米国務長官は31日、訪問先のベルリンで記者団に対し、「報道は承知している」と述べ、「我々は事実確認に最大の努力をしている」と語った。また、米ホワイトハウスのサンダース報道官も同日、記者団に「インテリジェンスについてコメントしないが、我々は状況を注視している」と語った。(ソウル=神谷毅、シンガポール=園田耕司)