厚生労働省は6月から、養殖ヒラメなど韓国産の水産物を輸入する時の検査を強化する。表向きは「真夏の食中毒シーズンに向けた衛生対策」と説明するが、東京電力福島第一原発事故の被災地などの水産物を全面禁輸している韓国への事実上の対抗措置になる。
検査強化の対象は養殖ヒラメのほかに赤貝、タイラギガイ、トリガイ、ウニ。検疫所で行う検査対象を、ヒラメは輸入の届け出件数の20%から40%に、それ以外は10%から20%に引き上げる。ウニ以外の輸入の大半は韓国産だ。ウニと貝は当面1カ月実施し、ヒラメは来年3月末まで続ける。
検査強化の理由について、厚労省の担当者は「昨年、輸入したヒラメとウニで、寄生虫クドアや腸炎ビブリオを原因とする食中毒が発生したため」と説明する。ほかの三つもウニと同様に冷蔵して輸送されるため、腸炎ビブリオのリスクがあると判断したという。いずれも嘔吐(おうと)や下痢などの症状が出るが、通常は軽症に終わるという。
厚労省は検査で基準値を上回るクドアや腸炎ビブリオが見つかった場合、その魚介類を育てた養殖所や加工した所から出荷されたものは、検査をクリアするまで検疫所を通さない考えだ。検査が終わるまで積み荷を検疫所に置くと、鮮度が落ちるので日本への輸出が難しくなると言う。
厚労省によると、国内で流通するヒラメは国産が年9千トンほどで、韓国産は年2千トンある。担当者は「検査に引っかからない限り、これまでどおりの輸入は続く。消費者に影響があるかはわからない」とする。(阿部彰芳、大日向寛文)
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