北海道夕張市は10日、5月末現在の住民基本台帳登録人口が7998人と、初めて8千人を割ったと発表した。人口減少に歯止めがかからない厳しい実情が改めて浮き彫りになった。
市市民課によると、市の人口は4月から35人減った。これにより、2016年5月から丸3年にわたり維持していた人口8千人台を割ることになった。内訳は、死亡者が出生者を上回る「自然減」が14人、転出が転入を上回る「社会減」が21人。市民課は、2人の出生に対し14人が死亡したことが、人口減の主な要因とみている。
総務省がまとめた18年1月時点の人口動態調査では、人口に占める65歳以上の割合を示す高齢化率は50・8%(道全体は30・5%)と道内の市町村で最も高く、全国の市区でも最高だった。
夕張市の人口は、市の基幹産業である石炭業が隆盛を極めた1951年に初めて10万人を超え、60年に最多の11万6908人になった。しかし70年代に入ってからはエネルギー政策の転換で炭鉱の閉山が相次ぎ、市内の炭鉱がすべて閉山した90年には2万人台に。財政も悪化し、全国で初めて財政再建(再生)団体に転落した2007年には約1万2千人に減った。
市は、点在する住居を集約するコンパクトシティー構想を掲げ地域再生に取り組んでいるが、4月に鉄道が廃線になり観光拠点の市石炭博物館が火災に遭うなど、厳しい事態に直面している。
厚谷司市長は取材に対し「いずれ8千人を割る時代が来ると受けとめていたが、実際に7千人台になったことは大変残念だ」と述べた。そのうえで「減少速度を少しでも緩められるよう、限られた予算ではあるが、市民の皆さんと知恵を出し合い高齢者福祉や子育て世代支援に取り組んでいきたい」と語った。(斎藤徹)