トランプ米大統領と中国の習近平(シーチンピン)国家主席が29日、大阪で開かれている主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の会場で会談した。トランプ氏は会談後、記者団に「素晴らしい会談だった。期待以上といえるだろう。協議は再開する」と述べ、中断していた高官級協議を再開する可能性を示唆した。
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会談は、昨年12月のブエノスアイレスでのG20サミットのとき以来で約7カ月ぶり。
会談では、習氏がトランプ氏と握手した後、「中米関係の発展に関する根本的な問題について意見を交わし、協調、協力、安定を基調とした中米関係を推進したい」と語りかけた。トランプ氏は通商協議について「少しつまずいたが、我々はまた近づいている。きっと公正な合意がまとめられる。ものすごくいい成果を期待している」と応じた。
トランプ氏は、新たに準備した3千億ドル(約33兆円)分の追加関税「第4弾」の発動や、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への輸出制限の緩和などをカードに、知的財産権の侵害などの懸案で習氏に譲歩を迫る姿勢だ。
一方、中国側は、鉱物資源レアアースの輸出管理強化など対抗策を進めつつ、すべての追加関税の取り消しなどを強く求めてきた。習氏は、来日直前に訪問した北朝鮮の非核化問題などに議論を広げる考えとみられる。米側が制裁発動をいったん猶予して、双方が通商協議のテーブルに戻ることで緊張緩和をはかるとの見方もある。
ただ、米側は「逃亡犯条例」改正案をめぐって揺れる香港の問題も持ち出す構えで、通商問題の駆け引きに影響する可能性もある。(福田直之、青山直篤)