トランプ米大統領のツイッターでの呼びかけからわずか1日で実現した3回目の米朝首脳会談。同氏は板門店で金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と「握手して2分間」と語っていたが、一転して1時間近く話し込んだ。南北の軍事境界線を挟んで再会し、トランプ氏が現職大統領として初めて北朝鮮の地を踏む「演出」もあった。双方にはどんな思惑と計算があったのか。
米大統領選見据え絶妙の時期 上智大教授・前嶋和弘氏(現代アメリカ政治)
ハノイでの首脳会談以降、停滞していた米朝交渉が再び動き出したことは高く評価できる。
トランプ大統領にとって、今回の金正恩(キムジョンウン)委員長との会談は国内政治的に必須であり、絶妙のタイミングだった。脳裏には、来秋の米大統領選のことがあるだろう。支持者に訴えるためには、春ごろまでには非核化をめぐる何らかの成果を残すことが必要だ。
中国との通商協議は難航が予想され、緊迫するイランとの関係など、トランプ氏が抱える外交課題は多い。史上初の北朝鮮首脳との会談は数少ない「レガシー(政治的遺産)」であり、今後期待できる成果をつぶすことは許されない。
さらに、今回は野党民主党の予…