米国務省のビーガン北朝鮮政策特別代表は19日、ワシントンで講演し、中国の習近平(シーチンピン)国家主席の訪朝について「中国政府は何度も『朝鮮半島からの大量破壊兵器の廃棄を追求する』と述べている」と指摘したうえで、「習国家主席が平壌滞在中に建設的で適切なメッセージを送ることを期待している」と語った。
ビーガン氏はまた、「我々は朝鮮半島問題に関して中国ととても良い関係を築いている」とも語り、朝鮮半島の非核化については「中国と米国の国益は一致している」と強調した。
一方、5月の北朝鮮の短距離弾道ミサイル発射をめぐっては「明らかに懸念の域に達している。しかし同時に、我々は事態を注視しつつも、確信しているのは『北朝鮮は究極的に本当の問題を引き起こさないと決意している』ということだ」と述べ、北朝鮮の挑発活動が激化する可能性は低いという見方を示した。
ビーガン氏はこの日の講演で、2月末にハノイで行われた米朝首脳会談前の実務者協議を振り返り、カウンターパートだった北朝鮮の金赫哲(キムヒョクチョル)・対米特別代表について「非核化問題の交渉権限をもっていなかった」と明らかにした。ビーガン氏は「後付けの考えだが、これらの問題はセンシティブな性格をもつため、北朝鮮政府は金正恩(キムジョンウン)氏がハノイについたときに指導者レベルで協議すると決めていた」との見方を示した。ハノイでの首脳会談そのものについては「両首脳はお互いの立場を学び、生産的な会談だった」と述べ、「失敗」との見方を否定した。
一方、ビーガン氏は米国と北朝鮮にとっての非核化の定義について問われると、「我々は『非核化』の定義について合意していない」と認めたうえで、「非核化」の定義の合意が「(非核化交渉の)最も重要な出発点だ」と語った。(ワシントン=園田耕司)