兵庫県姫路市沖で2016年、貨物船と石材運搬船が衝突して2人が死亡した事故で、業務上過失致死などの罪に問われた貨物船船長の冨田庄二郎被告(58)に対し、神戸地裁姫路支部は5日、禁錮3年執行猶予5年(求刑禁錮3年)の判決を言い渡した。伊藤太一裁判官は、冨田被告が衝突直前にスマートフォンを操作していたと認定し、事故との因果関係を指摘した。
判決によると、冨田被告は16年7月15日、貨物船を操船中、前方500メートルの石材運搬船に気付くのが遅れ、自動操縦を手動に切り替えないまま衝突。運搬船は転覆し、船長(当時50)と機関士(同28)が死亡した。
伊藤裁判官は、衝突直前に冨田被告がスマホでニュースを見たり、パズルゲームで遊んだりしていたと認定。「(スマホ操作は)限られた視界に極めて高い集中力を生じさせ、注意力を奪う。特にゲームは画面に没頭しやすい」とし、前方の船に気付くのが遅れる原因になったと指摘した。一方、検察側の起訴内容はスマホの操作をやめた後の回避行動の過失を問うており、スマホ操作を量刑の上で過度には重視できないとも言及し、刑を猶予した。
亡くなった機関士の母親は法廷の後、「法律のことはよくわかりませんが、亡くなった息子は帰ってきません」と話した。