中国国際貿易促進委員会研究院国際貿易研究部の趙萍部長は、「4月の住宅部門の預金の減少は消費回復のシグナルだ。5月は多くの文化観光スポットが営業を再開し、今後は消費回復ペースがさらに加速し、社会消費財小売総額の増加率はマイナスからプラスに転じることが期待される。しかし、外需の不足が消費への期待に影響するため、大規模かつ長期間のリベンジ的消費は出現しないだろう」との見方を示した。
感染症の影響が続いているため、中国の個人所得水準は低下し、深刻な打撃を受けた一部の業界は賃金引き下げやリストラを余儀なくされ、人々の消費への期待が低下し、「生活費を切り詰める」という人も出てきた。感染症の後、中国も日本のように「低欲望社会」に突入するのだろうか。
王氏は、「ここ数年、中国の消費成長は確かに少しずつ鈍化してきたが、中国が物価の持続的低迷や所得の伸びの鈍化、消費意欲の低下がみられる『低欲望社会』に急速に突入することはない。中国は市場が大きく、人々の階層化やレベルの分化が明らかで、消費がレベルダウンした人もいれば高度化する人もおり、大都市と三線都市・四線都市とでは状況が大きく異なる。また中国には今、ますます多くの優れた消費体験が登場し、たとえば高い品質の製品やオンラインショッピング、スピード配送などがあり、人々の消費意欲をある程度かき立てることが可能だ」と述べた。
趙氏は、「『低欲望社会』は『高欲望社会』と相対するものだ。中国の消費文化は一貫して理性的な消費を中心としており、収入をみて支出を決めるのが大半の人の消費習慣で、中国は『高欲望社会』の段階には入っていない。そのため、いわゆる『低欲望社会』に入ることもない。感染症の後、人々の消費はますます理性的になるとみられるが、消費意欲がなくなることはない。中国経済が持続的に回復し、個人の所得獲得能力がさらにしっかりしたものになれば、消費力は増強され、消費のポテンシャルも発揮されるようになる」と述べた。