新型コロナウイルスが過ぎ去った後、中国の人々はリベンジ的消費を選ぶのか、それともリベンジ的貯蓄を選ぶのか。最近発表された一連のデータがその答えを出した。中国新聞社が伝えた。
リベンジ的消費の予想は、重症急性呼吸器症候群(SARS)流行時の状況に基づくものだ。2003年にSARSが抑制されると消費が急速に回復したため、今回の新型コロナが抑制された後にも急速な回復がみられると予想する機関がある。
リベンジ的貯蓄の予想は、第1四半期の中国人民銀行(中央銀行)のデータに基づくものだ。データによれば、同期の世帯貯蓄額が6兆4700億元(1元は約15.1円)増加しており、1日あたり700億元以上が銀行に流れ込んだ計算になる。
しかし最新のデータにより、どちらの予想もひっくり返ることになった。
国家統計局が発表したデータをみると、今年4月の社会消費財小売総額は2兆8178億元で、前年同期比7.5%減となり、減少幅は3月に比べて8.3ポイント縮小したが、前月比では0.32%増にとどまった。このデータはリベンジ的消費の予想とは大きくかけ離れたものだ。
人民銀行のデータによると、4月は住宅部門の預金が第1四半期の大幅増加の流れから一気に変わって7996億元減少し、世帯貯蓄も目減りした。
予想されたリベンジ的消費はどうしてまだ出現しないのか。中国国際経済交流センター学術委員会の王軍委員は取材に対し、「4月は企業活動が順調に回復し、生産サイドはほぼ普段に戻ったが、オフラインへの依存度の高い一連の業界は引き続き感染症の影響を受けたため、消費データの回復がやや遅れることになった。今後の見通しでは、外食などのオフライン消費が徐々に元に戻るのにともなって、消費がさらに回復し、感染症により押さえ込まれてきた一部の消費ニーズ、たとえば自動車や不動産、文化・娯楽などのニーズが大きく回復するとみられるが、これまでに失われた損失を取り戻すことはできないだろう。海外では感染症が拡大しているため、雇用と収入の見通しに対する人々のマイナスの予想も完全には消えていない。消費は徐々に元通りになるが、リベンジ的消費はしばらくは出現しない」と述べた。