甘粛省蘭州市でこのほど開催された草業宇宙育種特定テーマシンポジウムにおいて、宇宙変異誘発育種技術によって育成された「中天1号」ムラサキウマゴヤシの種が注目を集めた。科技日報が伝えた。
宇宙育種は宇宙技術、バイオ技術、農業育種技術を結びつけた育種の新方法だ。宇宙船にバイオ材料を搭載し、宇宙環境の強放射線・微小重力・弱地磁気の共同作用を利用し、宇宙変異誘発によりゲノムレベルの変異を生じさせる。地上に帰還後、4世代以上にわたる地上育成を経て、新たな性状を持つ新材料・新種を選び出す。最終的に遺伝が安定し品質が優れた新品種を育成する。
一般的な地上放射線による育種の突然変異と比べ、宇宙船に搭載され宇宙変異誘発が生じた材料には、活着率が高く、変異の頻度が高く、突然変異の幅が大きく、安定性が高く、育種の期間が短いといった大きな優位性がある。そのためこれは物理放射線育種の延長線上にある、従来の育種手段の重要な補完だ。育種専門家らは有人宇宙事業のプラットフォームを借り、特殊な宇宙環境を利用し農作物の新製品を育成し、農業革新と生産技術のレベルを大幅に高めている。
中国有人宇宙事業弁公室によると、中国有人宇宙事業が実施して以降の有人宇宙事業飛行試験任務において、宇宙船「神舟」及び次世代有人宇宙船試験船に搭載された作物の種子と植物材料を利用し、宇宙変異誘発実験が行われた。長年の科学研究と地上選択・育成を経て、国と省の審査に合格した宇宙育種新品種は200以上にのぼる。
神舟1号から神舟11号までの飛行任務で、宇宙育種生物類試験ペイロードが搭載された。神舟8号は高等植物の宇宙環境における開花・結実の過程を検証するため、「トマト試験管苗宇宙開花・結実」実験装置を設計・搭載した。トマトの8つの蕾のうち5つが開花・結実した。世界で初めて宇宙植物開花・結実を実現した。宇宙実験室「天宮2号」は高等植物培養実験を行い、初めて宇宙でシロイヌナズナの開花遺伝プロモーターを制御する緑色けい光たんぱく質のリアルタイム画像を取得した。これは将来的に植物を基礎とする宇宙生命生態系を構築し、システムの生産効率を高めるための根拠を提供している。これはまた中国が初めて成功した、植物の「種子から種子」に至るライフサイクル全体の育成でもある。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年9月2日