習近平国家主席は25日夜に日本の菅義偉首相と電話会談を行った。両国首脳は会談で少なくとも以下の重要な点を明確にした。(1)両国上層部は相手国を重視し、対話の継続に尽力し、中日関係の調整と協力を先導する。(2)引き続き中日の互恵協力を推進する。かつ、二国間の枠組みに限らず、これを地域さらには国際社会の課題にまで広げることに力を入れる。(3)重大な問題、敏感な問題に適切に対処し、相互信頼を増進し続ける。(文:盧昊・中国社会科学院日本研究所総合戦略研究室副室長。環球時報掲載)
このことから、すでに菅政権が対中協調路線を維持する立場を表明したことが分かる。現在、菅政権は内政面で新型コロナウイルス対策と経済回復という2つの大きな課題に追われており、政策全体における外交課題の緊迫性は相対的に下がっている。だが外交を「経済・実務」かつ「危なげのない確かな」方法で運営して、内政を支え、有利な外部環境を創出する作用を発揮させることが求められている。これに基づき、菅首相は外交を次の2つの方向性で重点的に繰り広げるだろう。第1に、中米など大きな戦略パワーの間で「より均衡的な姿勢」を追求する。第2に、新型コロナ対策の国際協力及び地域の秩序やルールの再構築をめぐり、日本として調整作用、さらにはリーダーシップを発揮することに重きを置く。この2つの方向性のいずれにおいても、対中協調路線の維持は大いに有益だ。
菅氏は新首相として、前首相の「政策の遺産」を継承すると同時に、比較的実務的でバランスの取れた方法で自らの特徴のある多元的な近隣外交を築く考えだ。菅首相は20日から25日までの間に、中国首脳以外にオーストラリア、韓国、インドなど近隣国の首脳と相次ぎ電話会談を行い、25日の国連総会での演説では、朝鮮の指導者と「無条件で会う」意向を明言した。各方面の情報から、今後日本が近隣外交において以下の点で尽力することは明らかだ。第1に、朝鮮半島を足掛かりに、安倍前首相の残した近隣外交の難局を改善する。朝鮮の核問題は複雑で、日韓関係が短期間で改善する余地も限られている。だが日本としては、朝鮮半島への介入を保つことは自らの「安全保障上の懸念」に関わる。また、これを利用して関係する大国間の調整を図り、自らの発言力と戦略的価値を高めることもできる。第2に、インド太平洋戦略(構想)を利用して、近隣外交の基盤と自らのシーパワーを強化するとともに、インド太平洋を自らが大国間の調整を図り、秩序とルールを広める主たる実験の場とする。また、日本は現在、米日豪印4か国の戦略協力に積極的に参加しているが、菅政権はこの枠組みが過度に地政学的競争性さらには軍事的対抗性を帯びることを望まず、それよりも経済、総合安全保障、ルール・制度作りの面で機能を強化し、日本がより柔軟で安全かつ協力的な方法で戦略的影響力を発揮することを目指している。
多元的な近隣外交の推進が今後の日本の重点となる。そのカギを握るのが対中外交であることは間違いない。日本の新政権の対中政策には、調整・協力と競争・牽制という二面性が依然存在することに目を向ける必要がある。米国からの圧力及び日本国内の対中強硬世論が、菅政権に悪影響を与える可能性もある。だが現時点で菅首相の見せている外交の方向性を踏まえると、慎重な見方を保つことは必要だが、中日関係が今後も安定と改善の勢いを保つ可能性も期待できる。日本が近隣外交を再構築する過程において、より理性的、実務的、建設的な戦略思想で自らにとって最大の隣国との関係を扱うことを希望する。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年9月28日