日本の菅義偉新首相は9月上旬の就任以降、すでに初の外国訪問や所信表明演説を終えた。その政策表明及び具体的行動について言えば、菅政権の国内政策と外交政策の原型的特徴は「サプライチェーン」、「経済回復」、「融合」、「デジタル化社会」という4つのキーワードにまとめることができる。(文:陳友駿・上海国際問題研究院研究員。環球時報掲載)
まず、積極的で効果ある経済振興策によって経済のシステマティックな回復を早急に実現することが、菅政権にとって最大の重要課題であると言える。所信表明演説で菅氏は「アベノミクス」継承を明言すると同時に、制度改革の取り組みを強化し、改革が新たな利益をもたらすようにし、経済回復の新たな内発的推進力を創造して、新型コロナウイルスの感染拡大による泥沼から日本経済が一刻も早く抜け出す手助けをするともした。菅氏は新たな経済政策は「継承」を柱とすることを控えめに表明したものの、その強調した制度改革とイノベーションが「スガノミクス」の大きな目玉となるかもしれない。
次に、デジタル化の推進が国内政策の重点だ。デジタル化行政の断行以外に、デジタル化社会、デジタル化教育といった一連のデジタル化プロジェクトもすでに実施段階に入っている、または入ろうとしている。こうしたシステマティックな政策措置は日本の行政及びビジネス行動パターンの改善に資し、日本社会全体の経済効率を高め、「点から線へ、線から面へ」という経済構造の新たな布陣を実現する。
さらに、海外サプライチェーンの配置を調整し、日本の技術を核心とする製品のサプライチェーンの安定性と安全性を一層固めることが、菅政権の対外政策の主要目標だ。菅氏は就任後初の外国訪問で伝統を破り、米国ではなくベトナムとインドネシアを選んだ。これは菅政権の外交戦略における東南アジア地域の重要な位置づけと強い期待を十分に示すものだ。
具体的には、東南アジアは菅政権の「インド太平洋構想」に関係し、地理的に重要であり、中核地域にあたる。しかも今後日本が海外サプライチェーンの調整を推進するに伴い、東南アジア地域は日本の新興投資を受け入れ、日本企業の生産拠点を引け受ける主要目的地となる。さらに重要なことに、この地域内の一部の国々は環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)の参加国にすでになっている、またはなることを目指している。これを考えると、日本にとって東南アジア地域との政治的関係は今後の海外経済戦略実施の速度と進度に直接影響する。このため、東南アジア地域との政治的「融合」、特にベトナムやインドネシアといった主要な地域大国と政治的に「融合」し、日本版「インド太平洋構想」の重要な支点国を築くことが、菅政権の外交活動において非常に重要だ。
菅政権は国内政策と外交政策において継承を柱とすることを対外的に繰り返し公言しているものの、実際には革新とブレイクスルーに努力し、実行を推し進める過程において自らの政権スタイルと政策システムの形成を図り、さらには安倍政権の超越を目指すということが分かる。要するに菅政権は変革の中に新たなチャンスを求め、改革の中に発展を求めることを望んでいる。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年11月9日