中国科学院昆明植物研究所の発表によると、同研究所の于富強博士及びそのチームによるチチタケ属人工栽培研究に一連の進展があり、かつ貴陽の栽培園で栽培に成功した。中国がアカハツタケの人工栽培の十分な証拠を示したのは今回が初めてで、また樹齢3年の若い木の下でアカハツタケとハツタケが栽培されたことに関する報告も今回が初となる。中国科学報が伝えた。
アカハツタケはベニタケ科チチタケ属の典型的な外生菌根菌の食用キノコで、松の木と共生関係を持つ。人工栽培を実現する上で重要なのは菌根の合成だ。研究者によると、2015年から、菌根合成で6種の松の木と4種のチチタケ属を使用してみたところ、うち14種の組み合わせで菌根が形成され、うち10種について初めて報告を行った。8種の組み合わせは合成状況が優れ、人工栽培の高い潜在力を持っていた。他にも、同研究所の研究員たちは外部由来の競合的雑菌、キノコを食べる昆虫の増殖抑制、ゲノム及びトランスクリプトームなどの関連研究を行った。
研究チームは2018年4月から、雲南省、貴州省、湖南省、四川省、山東省、甘粛省でチチタケ属栽培園を16ヶ所作った。総面積は100ムー(1ムーは約666.7平方メートル)以上に上る。今年11月、貴陽市のチチタケ属栽培園2ヶ所で、複数の木の下にアカハツタケとハツタケが生えた。菌根苗がチチタケ属栽培園に移植されてからわずか2年半だった。
情報によると、菌根性食用キノコの人工栽培は腐生性食用キノコと異なり、木と菌の共生関係を利用する。無菌育苗、菌根合成、菌根苗移植、チチタケ属栽培園の建設と管理を通じ、複数年にわたるキノコの収穫を実現する。このモデルを植樹・造林と結びつけ、苗木の初期成長段階からキノコの栽培を開始すれば、その後15−50年にわたり収穫が可能となる。条件の劣る土地での植生回復、耕地を森林に戻す「退耕環林」、生産量の少ない耕作地の改良にとっても得難い持続可能な開発モデルだと言えるだろう。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年11月26日