電子投票をやめた主な理由
開票作業を効率化しようと特例法を設けて2002年に始まった電子投票。全国で唯一続けていた青森県六戸(ろくのへ)町が撤退を決め、実施する自治体がなくなった。この間に採り入れたのは、わずか10市町村。どうしてか。
「続けるのは難しい」。六戸町役場に昨年12月、電子投票の機器やシステムの開発企業でつくる「電子投票普及協業組合」(東京都)の担当者から電話が入った。来年の統一地方選での機器のリースを断る内容だった。
電子投票は、有権者がタッチパネルなどで投票し、コンピューターで集計して結果を出すシステム。02年に特例法が施行され、地方選挙での実施が可能になった。電子投票を可能にする条例は全国6市町村にあるが、現在、実施しているところはない。
六戸町選挙管理委員会の職員は「できることなら今後も続けたかった」という。六戸町では、「田中」「小笠原」など同姓の候補者がいる場合が多い。また、投票用紙に書かれた候補者名が判別できずに無効票が多くなったことも。これらを解消しようと電子投票を導入。04年の町長選から16年の町議補選まで、全国最多の6回実施した。
電子投票で作業は一気に効率化された。町長選で2人が争った04年。同じく2人の候補者だった00年に約1時間かかった開票作業は、自書式の不在者投票の開票をあわせても半分以下の23分で終了。その後も大きなトラブルはなく、14分で開票できた選挙もあった。
なぜ、組合はリース継続を断ったのか。
組合の担当者は「商売にならな…