「ミルクティ好きは、ミルクティに魂を捧げ、ミルクティを飲まずにはいられない!」。ミルクティの愛好者がますます増加し、飛躍的発展を遂げる新スタイル茶飲料市場を支えている。
12月3日、奈雪の茶が第一財経ビジネスデータセンター(CBNData)と共同で発表した「新スタイル茶飲料白書2020」によると、2020年末にはミルクティを含む新スタイル茶飲料の市場規模が1千億元(1元は約15.9円)を突破する見込みだ。この新スタイルの茶飲料は今や95後(1995年から1999年生まれ)の若い層にとって主力の飲料となり、それにともなって製品のイノベーション、ルートのクロスオーバー融合、チェーン化された拡張・投資などがこぞって新スタイル茶飲料に注目するようになった。
新スタイル茶飲料の誕生
新スタイル茶飲料とは、高品質の茶葉、フレッシュミルク、新鮮な果物など、天然・高品質の食材を利用し、より多様なベースのお茶とフレーバーを組み合わせて作る中国式飲料だ。今では若者が伝統的なお茶の世界に触れる入り口になっている。
同白書のデータでは、2020年には新スタイル茶飲料の消費者の規模が3億4千万人を突破した。同白書は、「20年末までに、新スタイル茶飲料の市場規模は1020億元に達し、21年は1100億元を超えるだろう」と予想した。
市場の急拡大によって新スタイル茶飲料はバージョン3.0の段階に足を踏み入れ、オンライン注文が目立って増加した。同白書によれば、消費者の54%がオンラインルートで新スタイル茶飲料を購入するとし、この割合は19年に比べて20%近く上昇した。
材料がバージョンアップした1.0段階、茶飲料という商品カテゴリーがさまざまなシーンに融合した2.0段階を経て、デジタル化の3.0段階には、会員システムの開拓整備、ECプラットフォームへの進出、ミニアプリのリリース、デジタル化運営などが特徴になるとみられる。
新スタイル茶飲料を飲むのは誰?
新スタイル茶飲料の顧客の中心は90後(1990年代生まれ)、より厳密に言うと95後だ。「90後の女性」が中心で40%近くを占め、「95後の男性」も同じように新スタイル茶飲料が好きで10%以上を占める。
新スタイル茶飲料市場は今なお「発展の可能性が大きく、商品が標準化され、細分化されたジャンルに全国的なブランドを生み出すチャンスがある」という段階にあり、消費高度化が続いている。各ブランドが製品やルート、ブランドをめぐって共鳴し合い、デジタル化やブランド化、トレンド化に向かって急速な進化を遂げている。淘宝(タオバオ)のデータと合わせてみると、茶飲料の消費者の約77%に「マニア」的要素があり、たとえばネット愛好者、漫画・アニメマニア、デジタルの達人、イラストレーター、ゲーム好きなどが多い。
新スタイル茶飲料 一体どこが新しい?
若い顧客をターゲットにしているからには、新スタイル茶飲料は原料、製作から販売シーンまですべて新しいアイディアに満ちていなければならない。
「新スタイル茶飲料白書2019」と比較してみると、「品質の安全性」が「食感と味」を抜いて消費者が真っ先に考慮する要因になった。健康が引き続き消費者の最も注目するポイントで、70%近くが低糖の商品を選び、昨年はこの割合が50%だった。また植物肉、植物系材料、カロリーゼロ・糖質ゼロ、脂肪燃焼菌などの健康要素も新スタイル茶飲料に広く応用されている。
飲料ブランド「元気森林」はびっくりするような商品を生み出したわけではなく、従来の日用消費財メーカーが得意とするジャンル、すなわち茶飲料と炭酸飲料を切り口として競争に参入した。ユーロモニターのまとめたデータによると、19年の飲料全体に占める茶飲料の割合は21.12%、炭酸飲料は14.03%で、ほとんどの飲料メーカーがこの2つを扱っていた。しかし元気森林は「糖質ゼロ・脂肪分ゼロ・カロリーゼロ」のコンセプトを中心に打ち出し、若い世代の消費者の糖分控えめ・健康志向という消費トレンドをがっちりつかまえ、このジャンルの成長の恩恵を享受した。
健康要素の充実だけでなく、新スタイル茶飲料は材料との組み合わせでもイノベーションがあり、たとえば新鮮なミルク、果物、チーズ、ナッツ類、キャッサバ(タピオカ)などを使用する。茶飲料店「滬上阿姨」の関係責任者は取材に答えて、「当社の創業者はたまたまミルクティにもち米のお餅が入っているのを見て、『五穀入り茶飲料』のアイディアを思いつき、いろいろな雑穀をミルクティに入れてみた。95後の消費者は里芋のお団子やもち米のお餅が入ったミルクティを好む人が多い」と話した。
また新スタイル茶飲料はパッケージと若い消費者のブランドへの共感醸成に力を入れ、デジタル化と新技術の応用も重視する。たとえばパッケージなら多くの若者に人気のキャラクターやパッケージング方法を採用し、そして新しい視点でブランドの価値を示し、特にブランドに対する顧客の共感を重視している。例えば、奈雪の茶が女性消費者の手のサイズに合ったカップをデザインしたケースなどの例が挙げられる。
デジタル化新マーケティング
従来の茶飲料メーカーに比べて、新スタイル茶飲料ブランドはより活発に全チャネルの融合を模索している。こうした全チャネルに及ぶマーケティングの成果は、販売に現れるだけでなく、SNSを通じてより多くの若い顧客を獲得することや、グループ経済の構築により多く現れる。米マズローの自己実現理論を踏まえると、新スタイル茶飲料は今は主に消費者の社交的ニーズを満たすこと、すなわち帰属感と愛情を得るために消費されている。人というものは社交生活の中で他人の共感を得るために、自己の外見イメージを整えて他人から評価されようとする。このことが新スタイル茶飲料が消費者を定着させるための重要なチャネルになった。
同報告によれば、20年4月、喜茶が初めて天猫(Tmall)に進出し、チャネルを拡大し、より深いレベルの消費シーンを開拓し、ミニアプリを媒体にして非常に多くのユーザーを集め、オンラインユーザー数は累計3千万人を超えた上に、企業管理のデジタル化を実現した。「滬上阿姨」はミニアプリを通じて会員を約740万人集めた。新スタイル茶飲料ブランドの運営では次々にイノベーションが生まれ、クロスオーバー、「国潮」(中国伝統要素を取り入れたおしゃれな国産品トレンド)文化、ブランド周辺製品、会員管理などに関するイノベーションが次々に登場したという。
実際、全面的な外食産業のデジタル化では、「店内飲食+デリバリー」だけでなく、持ち帰り、ECでの小売、商業施設のスーパーでの小売など、新たなシーンやチャネルもカバーする。阿里巴巴(アリババ)の生活情報サービス「阿里本地生活」のオンラインビッグデータによると、新スタイル茶飲料の上位10ブランドは一線都市を本拠地(一線都市の店舗数が50%に迫る)としながら、徐々に三線以下の都市に広げ、拡張ペースが茶飲料市場全体のペースを大きく上回った。またトップ10ブランドには資金、ブランド、管理の優位性があり、一部はフランチャイズ方式に支えられてチャネル開拓のペースがさらに加速している。オンラインチャネルの誕生と発展、オフライン店舗の増加、地域分布の拡大によって、既存の飲料品ブランドのチャネル運営能力への要求はさらに高まり、これからはチャネルをどのように組織していくか、その力がブランドの重要な競争力の1つになるとみられる。(人民網日本語版論説員)
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「人民網日本語版」2020年12月7日