16日、サッカー日本代表と東京・国立競技場で親善試合を行い、0-1で敗れたアンゴラ代表。激戦のアフリカ予選を勝ち抜き、建国30年目にして初めてワールドカップ(W杯)ドイツ大会への出場権を得た新興国だ。出場32カ国が出そろったなかでも、世界ランク60位は最下位。まったくの無名国が悲願を達成した理由として、ゴンサルベス監督は第一に「平和」を挙げた。
◇建国30年目にして初出場
アフリカ内陸部にあるアンゴラは、75年にポルトガルから独立。以後27年間にわたって内戦が繰り広げられ、国民はサッカーどころではなかった。しかし、97年からは国を挙げて若手世代の育成プランがスタート。その成果も出て、01年にはアフリカユース選手権に優勝。世界ユースでは日本を破るなど力を蓄えていた。和平がなったのは、折りしもW杯日韓大会が開催された02年。「それ以来、より多くの人がサッカーをできるようになり、質のいい選手が出てきた」とゴンサルベス監督はいう。
和平実現後初となる今回のW杯予選は、4大会連続出場を目指す強豪ナイジェリアと同組に。10試合を行い6勝3分け1敗で2国が並んだが、直接対決の成績(1勝1分け)で上回ったアンゴラがドイツ切符を手にした。ゴンサルベス監督は「W杯出場は国民にとっての誇り。出場を決め、帰国した時の空港では国民全員がいるのではと思うほどの出迎えを受けました」と、母国の盛り上がりに顔をほころばせる。
日本戦は終了間際の失点による惜敗。指揮官は悪びれずに「私は幸福に感じている。よい機会をもらい、言い表せないほどいい体験をした」。新たな歴史の1ページを開いたアンゴラにとって、あらゆる機会が貴重な学習の場だ。【田内隆弘】