テニスの全仏オープン第13日は9日、パリのローランギャロスで女子ダブルス準決勝を行い、第5シードの杉山愛(ワコール)ダニエラ・ハンチュコバ(スロバキア)組が全豪オープンを制した第4シードの晏紫、鄭潔組(中国)に6-3、3-6、6-3で競り勝ち、初の決勝進出を果たした。
杉山は全仏でキム・クライシュテルス(ベルギー)とのペアで優勝した03年以来3年ぶり、4大大会では準優勝だった2年前のウィンブルドン選手権以来の決勝進出。
男子シングルス準決勝では世界ランキング1位のロジャー・フェデラー(スイス)が第3シードのダビド・ナルバンディアン(アルゼンチン)を3-6、6-4、5-2とリードした場面で相手が棄権し、初の決勝進出。フェデラーは昨年のウィンブルドンからメジャー4大会連続で決勝に進んだ。続いて2連覇を目指すラファエル・ナダル(スペイン)が第4シードのイワン・リュビチッチ(クロアチア)と対戦した。(共同)
◇成熟度を高めてきたぺア…杉山組
最後はハンチュコバのボレーが相手の足元をたたいた。本格的にダブルスを組んで約1年。ネットへの動きが良くなったパートナーに、杉山が信頼を深め、ここにきて成熟度を高めてきたぺアがついに決勝の舞台に進んだ。
晏紫、鄭潔の中国ペアは今年の全豪制覇を遂げた強豪。杉山組は昨年の全米3回戦でこのペアに競り負けたが、今季は優勝した3月のドーハの大会では準決勝でフルセットの末に競り勝っている。前哨戦のイタリア国際選手権も制し「いい形で(パリに)入ることができた」と杉山には十分な手応えがあった。
相手は果敢にネットに詰めてプレッシャーをかけたが、ミスも多く、第1セットは6-3で奪った。第2セットこそ競り合いをものにされたが、最終セットは杉山のネットプレー、ハンチュコバのショットが効果的で互いの長所がうまく絡み合い、押し切った。
クライシュテルスと組んで全仏を制したのが03年。女子ダブルスで4大大会3勝と経験豊富な杉山は「やることをしっかりやればチャンスはある」。3年ぶりの頂点へ、イメージは膨らんでいる。(共同)
◇幸運に恵まれたフェデラー
4大大会で過去9度の準決勝進出のうち敗れたのは2度だけ。世界トップのフェデラーが相手の途中棄権というあっけない幕切れで、全仏で初の決勝に進んだ。
同世代のナルバンディアンには98年の全米ジュニアの決勝で敗れた経験を持つなど、早くからしのぎを削ってきた。昨年11月のツアー最終戦、マスターズ・カップ決勝(上海)で2年4カ月に及んだ決勝での連勝記録を「24」でストップされた因縁の相手に、第1セットは苦しんだ。サーブが決まらず、動きも悪い。劣勢に回ってミスを連発し、3-6で落とした。
第2セットも0-3のピンチ。だが、王者はここから巻き返す。強烈なスピンをきかせたストロークに安定感が出てくると一気に5ゲームを連取。1セットオールに持ち込むと第3セットも流れは変わらず、5-2。このセットの途中で治療のタイムをとっていたナルバンディアンが、ここで握手を求めた。棄権で決勝進出という幸運に恵まれた。
昨年のウィンブルドンから4大大会は負け知らず。全仏のタイトルは無縁だったが、「勝ちたい。重圧はあるが、それを楽しむつもりでやる」と戦ってきた今回、ついに悲願達成の最大のチャンスを迎える。(共同)
毎日新聞 2006年6月9日 23時39分