キックオフ前に場外戦がぼっ発した。オーストラリアのヒディンク監督(59)は11日、オーリンゲンで公式会見を行い、日本サッカー協会の川淵三郎キャプテン(69)の発言に不快感をあらわにした。
4日のオランダ戦での荒っぽいプレーぶりを見た川淵キャプテンが「タックルが汚い。ケガが心配だ」と発言したことが発端だった。オーストラリア報道陣の間で物議を醸していたが、感想を求められたヒディンク監督は過激な反応を示した。
「ばからしいことだ。怒っている。オランダ戦でのことは、普通に試合で起こること。そういう雰囲気をつくってレフェリーに影響を与えようとすることは、スポーツマンとしてアンフェアだ」。これまで紳士的な態度を貫いてきた指揮官が初めて感情的な言葉を口にした。それが怒りの度合いを物語っていた。
しかし、会見で熱くなっている裏では、冷静に日本対策も進めている。10日の非公開練習では、日本攻略の策としてパワープレーに磨きをかけた。ビドゥカと1メートル92のケネディを並べたツインタワーを形成。そこにボールを放り込み、こぼれ球を2列目の選手が狙うパターンを繰り返した。「日本のDFはタフだ」と言いながら破壊力抜群のオプションで徹底的に日本の弱点を突く。
≪キューウェルはベンチスタート≫加地を欠く日本同様オーストラリアも万全とは言い難い。ヒディンク監督は11日の会見で、ケガから復帰したばかりのキューウェルについて「90分間プレーするのは難しい」とベンチスタートを示唆した。しかし、右ふくらはぎを負傷していたビドゥカはスタメン出場が濃厚だ。会見にも主将として出席。「誰がW杯の初ゴールを決めるか、かけをしているんだよ」と余裕を見せていた。
≪川淵キャプテン 言った覚えない≫川淵キャプテンは、11日午後、デュッセルドルフのニッコーホテルで講演会を行った。ヒディンク監督の公式会見での発言を伝え聞くと「そんなことを言った覚えはない。状況もよく分からないし、コメントのしようがない。なんでそんな場所で自分の名前が出るのか、分からない」と首をかしげた。講演会では「ジーコは4年間ずっと我慢の指導をしてくれた。たとえW杯で悪い結果が出たとしても、日本サッカーの方向性は間違っていない」などと話し、今大会がジーコジャパンの完成型であることを強調した。
スポーツニッポン 2006年6月12日