ポストシーズンゲーム(PSG)導入を巡るセ・パ両リーグの話し合いは、出口の見えない迷路に入り込んだようだ。
原因は論議の進め方のまずさにあるだろう。もともとの始まりは、3月の理事会でセ・リーグが来季からのPSG導入を決めたこと。これに伴い、セ・パ合同のプレーオフ開催や、両リーグの試合数、優勝決定方法の統一などが話し合われることになった。
ところが試合数統一に関する議論の過程で、セ側がセ・パ交流戦の削減を提案。当初は現行36試合から30試合への削減案だったが、やがて24~18試合削減案にまでエスカレートした。
セ側は「PSG導入には日数を確保する必要があり、PSG導入と試合数削減はセットの話」(巨人・清武球団代表)とする。しかしパ側の見方は「PSGの話だったはずなのに、いつのまにか交流戦を減らす話ばかりしている」(ロッテ・瀬戸山球団代表)。PSGを名目に、交流戦削減へと論点をすり替えられたとの不信感が生まれた。
交流戦の実施で、セの一部球団は巨人戦の放映権料など数億円規模の減収になったとされ、交流戦削減の要望が強い。一方、長年にわたり経営難に苦しみ、交流戦によって増収を得たパ側は、1試合も減らしたくない。オリックス・小泉球団社長はセの削減案を「これまでは寒い場所にセはシャツを5枚、パは1枚着て立っていた。(交流戦導入で)セのシャツを1枚、パに移して4枚と2枚になったのに『寒いから、やっぱり1枚返せ』というようなもの」と表現する。
肝心のPSGのやり方にまで一向に議論が進まず、手前の段階で時が費やされていくのはむなしい。しかし各球団の収益に直結する問題だけに、妥結点を見いだすのは容易ではないだろう。
【神保忠弘】
毎日新聞 2006年7月20日 20時55分