【カイロ高橋宗男】イスラエル軍との戦闘を続けるイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラの指導者、ナスララ師は9日夜(日本時間10日未明)、系列テレビを通じた演説で、レバノン南部を「ユダヤ主義者の墓場にする」などと述べ、イスラエル軍への徹底抗戦を改めて強調した。
イスラエル政府は同日、レバノン侵攻の拡大を承認しており、ナスララ師は演説で「我々はすべての侵略の停止を望んでいるが、決着をつけなければならないのであれば望むところだ」と強調。イスラエル北部ハイファのアラブ系住民に避難を呼びかけ、ロケット攻撃をさらに強化する構えを示した。
また同師は米仏が国連安保理に示した決議案について「イスラエルに彼らが望む以上のものを与える不公平な決議案だ」と批判した。ヒズボラが米仏案を拒否したことで、同案が採択された場合でも、停戦実現は厳しい見通しとなった。その上で同師は、「レバノン国軍の(南部国境地帯への)展開が侵略停止に向けた政治的解決に結び付くのであれば名誉ある解決策だ」と述べ、政府の南部への国軍展開の方針に理解を示した。
毎日新聞 2006年8月10日