下8ケタが同じだったり規則的に数字が並んだ「良番」と呼ばれる携帯電話の番号が、インターネットなどを通じて高額で売買されていることが分かった。携帯電話会社を変えても同じ番号を使える「番号ポータビリティー制度」が10月に導入されることから、価格が高騰し、業者などによると億単位の値が付く番号もあるという。暴力団関係者が関与しているという情報もあり、警察当局は「売買の仲介で生まれる巨額の利益が、暴力団などの新たな資金源になっている可能性がある」と注目している。
関係者によると、良番は専門業者が仲介して主にネット上で売買され、会社経営者らがステータスの一種として購入することが多い。値段は人気によって決まり、数万円程度で取引される番号もあるが、下4~8ケタがすべて同じ番号や「123……」など順番に並ぶ番号は需要が高く高値になる。「末広がり」の「8」や「ラッキー7」の「7」が連続する番号はプレミアが付き、ある業者は毎日新聞の取材に、「数千万円から億単位で売買が成立したこともある」と証言する。
会社別ではNTTドコモが最も高く、KDDI(au)、ボーダフォンの順で続くが、auとボーダフォンの価格が最近、2~3倍に高騰したという。ある業者は、ポータビリティー制度導入を前にボーダフォンの良番を購入し、制度導入後にNTTドコモに機種変更して価値を一気に高める狙いがある、と解説。「“超良番”は10億円台に跳ね上がる可能性がある」とも話す。
ネット売買トラブルの相談を受けるNPO法人「日本情報保全協会」(大阪市)は「今年から良番売買を巡る相談が増えた。暴力団が資金源にしているとの情報もある」と指摘。「番号を買いたい」という電話が突然かかるケースが多いといい、捜査当局も関心を寄せている。
毎日新聞 2006年8月30日