岐阜県庁の裏金問題で、一部の本庁主管課が同じ部局内の他の課や出先機関に頼んで裏金を作らせ、一部を自分の課に集約させていたことが第三者機関「プール資金問題検討委員会」の調査で分かった。主管課は部長・次長級の幹部が使う接待費などに充てるため多額の裏金を必要としていたといい、旅費予算の枠が大きいなどの理由から裏金を作りやすい部署を悪用していたとみられる。部局ぐるみの組織的な裏金作りの手口が明らかになった。
検討委の報告書や県によると、裏金の大半は旅費の架空・水増し請求で作られていた。各課の庶務担当者が課員の私印を集め、架空の旅費請求書を作成。旅費を代理受領し、架空請求分を裏金としてプールしていた。この際、カラ出張の日程が職員の休暇や実際の出張と重ならないよう、出勤簿も偽装していた。
主管課は一つの部局の管理部門。業務内容が事務中心で出張は少なく、裏金作りや偽装工作が難しかった。しかし当時、部長・次長級の幹部が官官接待や飲食に使う裏金を用立てるのは主管課の役割だったため、他の課よりむしろ多額の裏金を必要とした。そこで県庁内の複数の部局では、主管課の庶務担当者が現地機関や他の課の担当者に依頼し、ねん出させた裏金の一部を回してもらっていたという。
同県では97年6月、旅費支出方法を出張者本人への口座振替に改めたため、それ以後はカラ出張による裏金作りは激減したという。【秋山信一】
毎日新聞 2006年9月4日