中国が実用化予定の第3世代携帯電話の規格「TD-SCDMA」に準拠した携帯電話向けチップセットが続々登場している。2004年11月15日に発表した米Analog Devices,Inc.に加えて,米Texas Instruments Inc.(TI社)と中国・凱明信息科技(COMMIT Inc.),DSPコア大手の米CEVA,Inc.と中国・展迅通信(Spreadtrum Communications Inc.)の計3組が,対応チップセットを第3世代携帯電話の国際会議「3G World Congress & Exhibition」(2004年11月16日~18日,香港)で発表した。2005年6月とされるTD-SCDMAの本サービス開始に向けて,米国の半導体メーカーの参入が目立つ。
TI社と凱明信息科技が公開したのは,5個のICで構成するチップセット。このうち4個はTD-SCDMA無線の送信,受信,アナログ・ベースバンド処理と出力制御,デジタル・ベースバンド処理とアプリケーション・ソフトウエアの実行をそれぞれ担う。最後の1つはTI社のOMAPプロセサである。2005年中に量産開始予定で,韓国LG Electronics Inc.や中国の寧波波尋(Ningbo Bird Co.,Ltd.),台湾DBTel Inc.が端末を開発中だという。
一方,CEVA社と展迅通信は,TD-SCDMAのMACおよびベースバンド処理用IC「SC8800」を開発し,サンプル出荷を開始したと発表した。TD-SCDMAだけでなく,GSMやGPRSにも準拠するマルチ・モード対応である。「ユーザーはTD-SCDMAとGSMの切り替えを意識せずに利用できる」(展迅通信)。
SC8800は,CEVA社のDSPコア「CEVA-Teak」を,ARM9コアやアナログとデジタルのベースバンド処理回路などと共に1チップに集積した製品。DSPコアはGSM/GPRSとTD-SCDMAのMAC処理を独立に実行できるという。0.18μmルールのCMOS技術で製造する。電源電圧は+3.3Vである。
CEVA社と展迅通信は,中国の携帯電話機や家電のメーカーである夏新電子(Amoi Electronics,Co.,Ltd.),寧波波尋,聯想集団(Lenovo Group Ltd.),海信集団(Hisense Electric Co.,Ltd.)に,同チップセットを供給することが決まっている。 |