中国と台湾の航空当局者は15日、マカオで協議し2月9日の春節(旧正月)に合わせて、双方の航空会社がそれぞれチャーター便を直接乗り入れることで合意した。台湾海峡の安定をアピールしたい両者の思惑が一致したもので、中国機が台湾に乗り入れるのは、49年の中台分断以来、実質的に初めてとなる。これを機に途絶えていた中台間の対話が復活するかどうかが、注目される。
今回の協議は、中台双方の交通当局の航空担当幹部が民間団体職員の身分で出席、異例の当局者同士の直接交渉となった。2時間にわたった協議の後に開かれた共同記者会見で、中国の浦照洲(プー・チャオチョウ)・海峡両岸航空運輸交流委員会副理事長は「友情のこもった雰囲気のなか、我々は短時間で合意に至った」と述べた。
台湾で対中国政策を主管する大陸委員会当局者も15日夜、台北で記者会見し「(中台)両岸の相互信頼の基礎を築いた」と評価した。
中台間を結ぶ航空便は、03年の春節に台湾機がチャーター便として旅客を乗せずに香港、マカオを経由して上海に乗り入れ、帰省客を乗せて戻ったのが、49年の中台分断以来最初となった。04年は中台関係が緊張していたうえ、台湾の総統選を控えていたため見送られた。
今回は03年以降、中国側が一貫して主張してきた「相互乗り入れ、経由地なし」の構想が実現した形だ。台湾側も立法院選挙を控えた昨年11月、陳水扁(チェン・ショイピン)総統が支持の拡大を狙って、同様の提案をしていた。
合意内容は、今月29日から2月20日にかけて、中国の中国国際航空や台湾の中華航空など、中台双方のそれぞれ6社が、合計96便を運航するというもの。主に大陸で暮らす台湾のビジネスマンらの里帰りに利用される。発着地は、中国側が北京、上海と広州、台湾側が台北と高雄。前回、運航したのが台湾の6社だけで、中国側の発着地も上海1カ所だったのに比べると規模が拡大している。「軍用機との識別が困難」とする台湾側に配慮し、着陸はしないが香港の空域を経由する。
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中台間の「三通(直接の通商、通航、通信)」のうち、直行便は最後に残された課題となっていた。電話や郵便は、すでに直接のやりとりが可能となっている。台湾から中国への投資は、広州周辺の華南、上海周辺の華東の両地域を中心に、90年代からの累計で300億ドルを超える。
台湾側では、ビジネスマンや航空会社の関係者の間で、今回のチャーター便の相互乗り入れ合意が定期便の往来につながることへの期待が大きいが、台湾当局内には安全保障上の懸念が、なお根強くある。さらに、中台間の航空便を「国内線」とする中国と、「国際線」として扱いたい台湾との間の溝も残っている。 (01/16 01:21)