白物家電の売れ行きが好調だ。今年4~8月の夏商戦では、夏場に売れ行きが伸びるエアコン、冷蔵庫のほか、洗濯機、オーブンレンジも昨年同期の実績を超えた。景気回復を背景にした消費者の“買い替え”の動きに、家電メーカーが開発した新性能の高額商品がぴったりとはまった形で、メーカー各社は秋以降の売り上げ増にも期待を寄せている。
調査会社のGfKジャパンによると、エアコンの4~8月の販売台数は前年同期比6.2%増で、猛暑で好調だった昨夏の実績をさらに上回った。当初「昨年ほどの売れ行きは見込めない」と見ていた業界も、「このままいけば、年間でも昨年の703万台を上回るのでは」と強気の見方に転じている。
洗濯機では、松下電器産業が先行した「ななめ型ドラム」に、2月から東芝が参入。12万~18万円という高額にもかかわらず、順調な売れ行きを示している。オーブンレンジは、レンジ機能はないが高温の水蒸気で調理するシャープの「ヘルシオ」が人気を集め、それがオーブンレンジ市場全体を活性化。これまで、日本ではあまり売れなかった高額のレンジの販売も伸びるという効果が出ている。
安い海外製品の流入やデジタル家電への売れ筋の変化で、大手メーカーでは一時、白物家電は「お荷物」とされた。しかし、各社は低価格品の生産を海外に移す一方、国内は「環境」や「健康」に対応した高付加価値品の開発に軸足を移し、白物復活を期した。
この結果、ななめ型ドラムの洗濯機やヘルシオのほかにも、赤外線センサーで部屋の温度を監視して均一に冷やす「ムーブアイ」付きのエアコン(三菱電機)や、お掃除ロボット搭載のエアコン(松下電器)などの新商品が続々と登場。松下では、白物の営業利益率は5.8%と全社平均の2.2%を上回るなど、「お荷物」から「優等生」に変身を遂げている。
日本総研の石川誠副主任研究員は「白物家電は長持ちするため、買い替えが先延ばしされやすい商品。その白物の売り上げが回復しているのは、個人消費が着実に上向いている証拠」と指摘している。【谷口崇子】