新車25台を展示する「カレスト幕張」の広々としたショールーム=千葉県習志野市
日産自動車が展開する大型の自動車販売店「カレスト」が注目を集めている。巨大な敷地に新車・中古車を1000台規模で展示し、豊富な品ぞろえで広範囲な顧客を集める“クルマの量販店”だ。既存2店舗は好調で、3店目の出店も検討されている。
千葉県習志野市の幕張新都心地区にある「カレスト幕張」は、東京ドーム約5個分の約6万1000平方メートルの敷地に新車の全車種約50台、中古車約1000台、カー用品4万点を展示する。03年10月の開店以来、来場者数は200万人を突破した。
日産が大型店の運営に乗り出したのは、自宅への訪問販売を嫌がる顧客が増え、店頭の販売を強化する必要に迫られたためだ。しかし、販売店のショールームに全車種を置くわけにはいかない。このため、日産は99年に第1号店として「カレスト座間」(神奈川県座間市)を開店した。
商圏は半径20キロ以上。幕張には東京や埼玉からも客が訪れる。価格は、値引き後のものを表示し、透明化に努めた。近隣にある商業施設の会員証を見せればカー用品を割り引くなど、周辺施設からの顧客の取り込みも図っている。
その結果、営業員1人当たりの月間販売台数は5~6台と業界平均の3・3台を上回っている。また新車販売の際、下取りする車が他社製である比率が75%もあり、販売店の平均30%を大きく上回る。「他社ユーザーの取り込みに成功した」(日産カレスト幕張の田中幾久生常務)結果として自信を強めている。
ただ他社は「投資額が大きすぎる」(ホンダ幹部)と大型店の展開に二の足を踏んでいる。実際、日産の投資額は座間が約30億円、幕張が約11億円。巨大な設備は維持費も高くつく。さらに、中古車は近隣の販売店が顧客から下取りしたもので、収益は販売店のものとなる。「中古車を除くと収支はとんとん」(日産幹部)で、現在計画中の3店目、日産村山工場跡地(東京都武蔵村山市)への出店でも、投資に見合う利益をいかに確保するかが課題だ。【工藤昭久】
毎日新聞 2005年9月15日 19時34分 (最終更新時間 9月15日 19時40分)