◇「ウォンカ氏の演じ方、衣装着たら見えた」
ハリウッドスターの中でもジョニー・デップは独特の境地にいる。大作で華々しいヒーローを演じるよりも、クセのある役を喜々として楽しむ。公開中の「チャーリーとチョコレート工場」でも、おかしな装いで大いに楽しんだようだ。
ロアルド・ダールの児童小説を、ティム・バートン監督が映画化。バートン監督とは「シザーハンズ」「スリーピー・ホロウ」などに続いて4作目。独自の映像感覚に厚い信頼を寄せる。
「ダールもティムもとてもユニークな映像感覚を持っている。2人は個性的すぎて組み合わせには危険もあったけど、今回は完ぺきな“結婚”だったと思う。ダールの発想にティムのイメージ、それに素晴らしい特撮技術が加わっている」
「シザーハンズ」の両手がハサミのロボットなど、キテレツな扮装(ふんそう)をするとひときわ張り切るように見える。この映画で演じたウォンカ氏は、おかっぱ頭で白塗りの顔に真っ赤な口、赤いコートを羽織りステッキを手にしたいでだち。「ウォンカ氏をどう演じていいか分からなかったけれど、メークをして衣装を着たらすぐ見えたよ。髪形など悪いところばかり自分のアイデア」とおどける。
ウォンカ氏の不思議なチョコレート工場を見学する間に、生意気な子供がお仕置きを受けるというファンタジー。原作にほぼ忠実な映画の中で、終盤だけが大きく違う。ウォンカ氏と父親との関係が描かれている。
「そこはまったくの創造。原作を台なしにしかねなかったけれど、役者にも観客にも、ウォンカ氏が一体誰なのかを理解する助けになったと思う。勇敢な挑戦だったね」
家庭では2人の子供の父親。「一緒にアニメを見るようになって、一緒に笑っている。どうして子供からお年寄りまで楽しませるかを考えるのは刺激的だし、多くのことを学ぶチャンスだとも思う」。画面と同じく、無表情に話すのだった。【勝田友巳】