経営再建中の三洋電機は25日、来年1月末までの人員削減数を計画の約1万人から上積みする方向で検討していることを明らかにした。上積み分は、三洋本体としては初めての希望退職の募集によるものとみられる。07年3月期以降のV字回復に向けた経営基盤を整えるため、人員削減の一段の加速が不可欠と判断した模様だ。
野中ともよ会長が毎日新聞のインタビューに「改革のスピードを遅らせるわけにはいかない」と強調し、人員削減を上乗せする考えを示した。また、冷蔵庫など白物家電の国内生産については「一部事業の売却や生産品種の絞り込みは検討しているが、全面撤退はない」と明言した。
三洋の06年3月期の連結最終(当期)損益は1400億円の赤字となる見込み。半導体工場が中越地震の直撃を受けた前期に続く2期連続の巨額の最終赤字見通しを受け、事業の抜本見直しに踏み込んでいる。
7月の経営再建計画では3年間に転籍などで国内外で1万4000人を削減する方針を提示。その後、販売不振で赤字が拡大する見通しになったため、9月末、来年1月末までに、全体計画の約3分の2に当たる1万人を削減する新計画を発表したが、それでも希望退職募集などには踏み込まなかった。
三洋は社員を大切にする「家族主義」で知られ、これまで本体で希望退職を募ったことはなかった。希望退職募集の規模は1000~2000人になるとみられる。【前川雅俊】