日本プロ野球組織(NPB)の根来泰周コミッショナー(73)は1日、東京都内で毎日新聞社の取材に応じ、昨年9月に表明していた辞意を初めて撤回した。「任期は3年と言われている。(退任は)野球協約の改定を仕上げてからにしたい。周りには慰留してくれる人もいる」と話し、球界の「法整備」を理由に07年1月末の任期終了まで留任する考えを示した。
◇球界の「法整備」に意欲
根来氏は昨年9月、労組プロ野球選手会がストライキを決行した際、解決のための提言を示した。だが、選手会は受け入れず、根来氏は「自分だけ血を流さないわけにはいかない」と辞意を表明。野球ファンらから無責任だとの批判も受けた。
一方、プロ野球界では今年、投資会社・村上ファンドが阪神球団の上場を計画したり、楽天が横浜ベイスターズの親会社・TBSの株式を大量所有するなど、これまで想定外だった問題が生じて混乱。このため、法曹界出身の根来氏は、周囲の期待を受けて新たな協約作りに意欲を見せている。【徳丸威一郎】
◇日本プロ野球組織(NPB)の根来泰周コミッショナーは1日、毎日新聞とのインタビューに応じた。インタビューの主なやり取りは以下の通り。
--楽天がTBS株式を大量取得した問題が4日のオーナー会議で討議されるが、横浜を中心に、楽天にペナルティーを科せとの意見もある。
◆それは難しいところだ。野球協約の性格が理解されていないところがあるからだ。法的な効果を伴う部分、紳士協約的な部分がある。だから株式を持つことはどちら側に当たるかを検討しないと、よほど吟味しないと、ペナルティーという結論にはならない。
--楽天の現状は野球協約違反か。
◆野球協約183条違反であることは明白。楽天の三木谷オーナーも、新聞報道によれば「(TBS株取得は)違反だ」と言っているようだ。楽天の主張は、183条のただし書き(例外規定)の適用だが、実行委員会はその余地がないという結論になった。例外規定の適用はオーナー会議、実行委の両方の判断なので、オーナー会議で適用しようとなれば、実行委でもう一度検討することになる。
--どのように協約を改定するのか。
◆(参加資格などを定める)「組織規定」に加え、(選手契約などを定める)「運用規定」を別に規定する。(協約を)在任中に直し、次の人(次期コミッショナー)がやりやすいようにしたい。
--改定の眼目は。
◆「協調から競争へ」ということだ。協約の中味の矛盾点を調整すること。疾風怒涛(しっぷうどとう)の社会の激動に応じた協約に作り変えること。(NPBを)ルーズな組織からタイトな組織にすることが3番目。2リーグをつぶすのではないが、(現在はセ、パ両リーグとコミッショナー事務局の3局に分かれる)事務局の一元化に向けて調整することもありえるだろう。